クリニック開業時、借入金返済時、医療法人成りのタイミングについて解説いたします。
※ハリネズミのシュークリーム
個人クリニック開業にかかる注意点は?
クリニック開業時の注意点としては3つあります。
1つめは、お医者さん、歯医者さん(以下院長)が地元で馴染みの患者さんがいるかどうかです。開業当初、院長がどんなに腕の良い方でも、どんなに人柄が良い方でも今まで働いていた地域と別の地域で開業する場合に経営が安定するのに時間がかかります。
2つめは、どの程度、どこから借入をするかどうかです。普通に考えると銀行からお金を借りることになります。
開業当初、銀行借入のみだと厳しい月がありました。身内からの借入も検討しましょう。
3つめは、設備にお金をかけすぎないという事です。建物の内部造作、医療機器、リース、備品などで1億近く、設備投資すると返済が厳しいです。
借入金の返済計画は?
借入金額5000万円・返済金額が15年・金利年2%・返済金額が均等の場合は、月32万円弱の返済。
これが借入金額が倍の1億円になると月64万円弱の返済になります。
知名度がなく、銀行からの借入のみ、開業資金1億円だと初年度は相当厳しい資金繰りとなります。
場合によっては手形借入、返済猶予、返済計画のリスケジューリングを行うことになります。
本当に必要な設備なのか、適正な家賃なのか、人員配置なのか。冷静になって資金繰り計画を立てましょう。
一人医療法人成りのタイミングは?
一人医療法人成りのタイミングは事業所得が2千万円を超えるタイミングだと考えます。
2千万円以下でも院長の配偶者やご子息がいる場合には所得分散の効果が大きい場合、ご子息が後継ぎとして医師・歯科医師の免許を取った場合など事業承継を考えると所得税や相続税の節税のメリットが考えられます。
税理士に医療法人成りのシュミレーションを依頼しましょう。
今年の6月に行われた福岡県の一人医療法人成りの説明会に出席したときの気づき(書籍でも)は、固定資産(設備、医療機器等)にかかる借入金のみしか医療法人に引き継げません。また、運転資金にかかる借入金は医療法人に引き継げません。
引き継げなかった借入金は、医療法人成り後、院長の給与(役員報酬)で返済することになります。個人と法人での所得分散が出来ません。
固定資産について院長個人と医療法人で賃貸契約を結ぶパターンでも院長個人の所得が増えて、個人と法人での所得分散が出来ません。
つまり、一人医療法人にする場合は、固定資産と借入金の引継ぎが上手くいくこと、または相当少なくなっているとスムーズです。
クリニック開業時、医療法人成りを考える際はぜひとも冷静な判断をお願いいたします。
■編集後記
午前中は合併についての調べもの。午後は個人事業主のお客様との打ち合わせ。今年は秋も一人医療法人の説明会に出席するのでまた思うところがあれば加筆します。
■「1日1新」
ホームページのドメイン取得。