民法改正のため、債権の時効が変わります。現在の時効・改正後の時効期間が何年になるのか。種別ごとにまとめました。
民法改正の概要
令和2年4月1日から民法の取り扱いが変わります。120年間の社会経済の変化に対応するため、民法の契約等に関する部分の債権法の見直しが行われます。以下3つご紹介します。
個人保証の要件が厳格に
個人保証契約について、保証人になろうとする方が、公証役場に出向き、保証人を負う責任について理解したことを公正証書で示す必要があります。
敷金や修繕関係の権利義務の明文化
法律上、契約書などに敷金、返還要求、原状回復、修繕に関することなどを記載し、明文化しなければなりません。
賃貸物件に修繕の必要な状況があるときは、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、賃借人は、修繕する権限を有することが出来るようになりました。
職業別短期消滅時効制度の廃止
債権の時効について、職業別に決められていた特例を廃止、一律に原則として、5年間にすることとなりました。
債権の種別ごとの時効
令和2年4月1日からは、債権の時効が原則5年(場合により10年)になります。
現状の債権の時効期間を確認し、債権の回収、貸倒れの計上を明確にしましょう。(法務省ホームページ)
医師の診療報酬、工事業者の債権
3年。
クリニック、医療法人。建設業を営んでいる方は、時効が長くなります。
クリニック、医療法人では、患者さんを拒むことが出来ず、緊急で手当て、まさかの料金を支払わずに帰るということもあります。
建設業は、受注元の業績悪化などで、連鎖して債権の回収が難しくなります。
(クリニック創業時の記事はこちら)
授業料や弁護士への報酬、給料、売掛金
2年。
教育業、士業の方は、時効が長くなります。
士業は、お客さんの業績悪化で債権回収が難しくなることがあります。債権が伸びるとはいえ、前受金でお願いしておいた方がよいでしょう。
飲食代、動産のレンタル代金
1年。
飲食店、レンタル業の方は、飛躍的に時効が長くなります。特に、クラブ・キャバレーなどの飲食関係は、債権の貸倒が多いです。
今後は、時効が長くなりますので、回収と貸倒の対応を明確にしましょう。
(飲食店開業の記事はこちら)
商取引債権、会社の貸付金、家賃
5年。
会社の貸付、家賃については、時効が変わりません。
まとめ
令和2年4月からは、借入金の保証人の理解を求めること。
不動産賃貸にかかる貸し手と借り手のトラブル軽減。債権の時効が早すぎたことに対しての改正が行われます。
経済情勢が変わり、債権法によるトラブルが多かった点が改正された印象です。
私としては、3つ目の債権の回収期間が伸びたこと。
事業者の回収努力を促すこと。債権の貸倒損失は、経費で落とせる時期が、黒字と相殺したいときではないこと。顧問先とお話をしたいと思っています。
読者の皆さんの事業にどのような影響があるのか、ぜひチェックして下さい。
■編集後記
債権関係の民法改正は、事業者の皆さまに大きな影響があると思い、この記事を書きました。
今度の日曜日(10月13日)は、台風が日本列島に近づいています。
ラクビーワールドカップでは、日本対スコットランド戦が。
試合中止の場合は、引き分けで日本予選突破になります。台風が近づいて欲しい気持ちと被害がなければという気持ちで揺れています。
昨日は、法人の決算作業。月次作業という一日でした。
■「1日1新」
八女の紅茶