認知症による財産凍結の実態・なぜ凍結されるのか?・認知症とは?
について現状の社会情勢について解説いたします。
※福岡市 大濠公園より
認知症による財産凍結の実態
高齢者の認知症によって、2017年時点、143兆円の金融資産が凍結しています。
2030年には215兆円が凍結されると予想されます。
これは、国内総生産(GDP)の約4割に該当します。
・預貯金の場合
本人であっても、たとえ家族であっても、普通預金は下せない。
定期預金は解約できないこととなります。
・不動産の場合
所有者が認知症になると家族であっても、不動産を売却できない。
リフォーム・修繕できない。賃貸契約が出来なくなります。
なぜ凍結されるのか?
正常な判断が出来ない=契約行為はできない
こととなります。
親が貯金・年金暮らしをしていた場合に、
親が認知症になったとします。
預貯金が凍結され、親の生活費が足りない。
医療・介護費が引き出せなくなります。
また、親が将来的に介護施設に入ろうと、
その際の施設の費用は、自宅を売って確保しようと
考えていたとします。
しかし、親が認知症になると自宅(不動産)が凍結され、
自宅を売却できない。介護費用が不足する。
息子さんや娘さんが介護費用を
負担しないといけない状況になります。
認知症とは?
認知症は、脳の細胞が働きが悪くなることによる障害が起こる症状です。
主な症状では、
①記憶障害
②実行機能障害(段取りをたてて行動出来なくなる)
③理解・判断力の障害
④見当識障害(時間・場所、人との関係が分からなくなる)
があります。
「加齢」が大きな原因とされます。
65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症・認知症予備軍と
されています。
親が認知症になり、預貯金・不動産が凍結され、年金で賄えなくなると
息子・娘さんが介護費用を負担しなければならなくなります。
介護施設にかかる月額費用が10年かかった場合
月額20万円×12か月×10年=2400万円。
入居一時金500万円。
合わせると
2400万円+500万円=2900万円
が必要となります。
仮に一人っ子で相続のトラブルがないと考えていたとしても
親が認知症になり不動産が凍結し、介護費用の支払いが困難になった場合。
成年後見人をたてても、裁判所から実家の売却は認められません。
理由は、裁判所が親本人にとって不利益になる可能性があると考えるためです。
介護費用の不足分、毎月10万円と成年後見人の報酬毎月3万円の
合計月13万円を一人っ子のお子さんが支払うこととなります。
そのため、親が元気な今のうちに対策をする必要があります。
次回のブログでその解決方法を執筆したいと考えております。
■編集後記
金曜日は法人の関与先と打ち合わせ。
相続のご質問の回答など。
土曜日は弁護士事務所にセミナーに
行きました。このセミナーの内容を3回に
分けてアウトプットしたいと考えています。
■「1日1新」
とある弁護士事務所訪問