認知症による財産凍結を防ぐ方法として2つあります。
成年後見・家族信託とは、どのようなものか?比較して解説します。
※レストラン・ジョルジュマルソーにて
成年後見とは?
成年後見とは、財産の管理を第三者に任せる方法です。
ポイントは3つです。
・認知症などで判断力がなくなった人を守るために
・「成年後見人」が財産の管理や契約行為を行う
・「成年後見人」は家庭裁判所が選ぶもの
成年後見人は法律の専門家が選ばれることが多いです。
平成29年のデータでは、司法書士・弁護士が73,8%。
親族が26,2%の割合です。
家族信託とは?
財産の管理を信頼できる家族に託す方法です。
ポイントを3つにまとめると
・ご家族の想いを叶えるために
・「信頼できる家族」が財産の管理や契約行為をおこなう
・「家族信託契約」を家族の間で結ぶ
ものです。
信託の起源は中世ヨーロッパの十字軍と言われています。
十字軍兵士として戦った貴族階級は、自分の領地など財産を置いて戦地へ。
妻や子供は財産の管理をする権限がなかった。
自分に代わって領地から税金徴収や財産を貸したり、
売ったりする権限を友人に与えた。
友人が財産を管理し、得られた利益は、自分の妻子に渡された。
成年後見と家族信託の違いは?
①いつから・いつまで
成年後見 | 家族信託 | |
開始 | 認知症になってからでもOK | 認知症になる前、元気なうち |
終わり | 亡くなるまで | 自由に決めることができる |
②誰が・誰のために
成年後見 | 家族信託 | |
誰が | 弁護士・司法書士 | 信頼できる家族 |
誰のために | ご本人だけのため | ご本人や家族のため |
③出来ること・出来ないこと
成年後見 | 家族信託 | |
出来ること | 本人のための使い方
介護施設費用 バリアフリーのリフォーム |
契約の目的通りの使い方
配偶者の介護施設の費用 遺言 実家の売却 相続対策(資産活用) |
出来ないこと | 家族のための使い方
配偶者の介護施設費用 相続税対策 財産の引継ぎ方(実家の売却) |
信託の目的に反する使い方 |
④費用は?
●成年後見にかかる費用
財産額 |
被後見人に支払う報酬の目安 |
基本報酬 | 月額2万円 |
管理財産額(1千万円~5千万円) | 月額3~4万円 |
管理財産額(5千万円以上) | 月額5~6万円 |
認知症になってから10年経過したらその金額は・・・?
360万円~720万円。原則、成年後見は途中でやめることができない。
●家族信託にかかる費用
財産額(家+預貯金)5千万円の場合
サポート内容 |
費用 |
家族信託の設計・コンサルティング業務費用 | 50万円 |
信託契約書の作成 | 15万円 |
信託する不動産の登記 | 10万円 |
合計 | 75万円 |
アフターフォローを合わせて約100万円程度。
まとめ
成年後見は、認知症の後、家族信託は認知症になる前。
成年後見は、ご本人のためのもの。家族信託は、本人・ご家族のためのもの。
成年後見は自由度が低く、家族信託は自由度が高い。
成年後見は費用が高い、家族信託は費用が安い。
認知症の本人はストレスから解放されるので、長生きすることが多いです。
その分、家族はストレスや費用がかかります。
認知症になる前に家族信託をした方が良いケースが
これからの高齢化社会で増えると予想されます。
■編集後記
昨日は、自動車で片道1時間半かけて法人の監査へ。
午後戻ってからその申告作業。
ブログを見てくれた中高時代の仲間から連絡があった。
久しぶりの再会が楽しみ。
■「1日1新」
レストラン・ジョルジュマルソーのランチ