経営者の高齢化に伴い、判断力の低下が起こっています。認知症など意思決定が出来なくなった場合、会社経営において想定される問題点と対策について書きました。
会社経営についての問題
経営者の判断力低下に伴い、会社経営について以下のような問題が起こります。
- 株主として、適切な議決権行使ができない
- 正常な経営判断ができなくなり、会社経営が停滞する
- 契約行為ができないので、取引先との契約や事業資金の調達ができない
- 株式の承継先を決めておかないと、株式が分散される
会社の代表であれば、会社の舵取りが出来ずに、会社が危機に陥る可能性があります。
また、相続対策もしておかなければ、相続が起こったときに、争続に発展し、さらに深刻な事態が起きます。
認知症による問題点
認知症の発症により、会社のみならず、経営者本人、そしてご家族に問題が派生します。
例えば、
- 預金を引き出すことができなくなり介護費用の支払いができなくなる
- 自宅や店舗不動産などの賃貸・売却ができなくなる
- 財産の承継先を決めておかないと、不動産は共有名義で相続され、兄弟間で遺産分割協議が必要となる
などが考えられます。
介護をすることも大変なことですが、その費用についても預金凍結により支払いが出来なくなります。
自宅や店舗不動産も賃貸・売却が出来ないので資金の捻出が難しくなります。
その後、相続が争う方向へと進んでいくことが考えられます。
成年後見制度を利用した場合の問題点
認知症になり口座凍結を解除するために、成年後見制度を利用することが考えられます。
その場合以下のような問題点が考えられます。
- 取締役を退任することになる
- 適切な議決権行使が困難
- 弁護士などの第三者が代わりに財産・株式を管理する
- 財産の活用や運用、節税対策はできない
- 毎月後見人に報酬を払わなければならない
- 不動産の共有化の問題は解決できない
後見人への報酬が毎月発生し、口座凍結解除を行っても、以上のような問題が発生します。介護においても、会社経営においても、良いことはなく、対策をしておくべきです。
まとめ
以上のような判断能力低下における会社経営の問題、認知症によるお金や相続の問題、成年後見制度を利用した場合の問題が考えられます。
これら3つの問題を解決できるのは、1番は家族信託が有効です。
別記事でもご紹介しております。
財産が大きくないと暦年贈与により毎年贈与をしても、会社の意思決定やお店の不動産、介護の問題は解決できません。
経営者の方自身が、自分で考えるか。家族が家族信託に詳しい弁護士さんに依頼するのか。税理士が提案するか。
税理士は、弁護士さんと連携して、会社経営や相続の評価や節税について助言します。
だんだん経営者の判断能力が弱ってきたと思ったときには、家族信託についてのご提案をしたいと考えています。
■編集後記
弁護士さんと連携して家族信託を検討しており今回の記事に至りました。
認知症のリスクと家族信託の有効性について、経営者の方にご説明したいと思っています。
昨日は、法人の決算・月次作業。
■「1日1新」