海外不動産の節税に税制改正があります。海外不動産投資を使った節税のスキームを解説。今後どのような税制改正の内容がいつから適用されるか記事にしました。
今までの海外不動産を使った節税スキームは?
海外不動産は建物の価値が高い
日本で不動産を購入すると、土地と建物の割合は、土地の割合が大きくなります。
例えば、中古一戸建ての場合、土地2,000万円に対して、建物500万円という割合になるのが一般的です。
築年数にもよりますが、建物の割合が2割くらいの物件が多いです。
海外不動産は、建物の価値が日本に比べて高く評価されます。
特に、アメリカの中古一戸建ての場合、土地2,000万円、建物3,000万円という割合です。
アメリカの中古一戸建ての建物の割合は、建物が6~8割と高い物件が存在します。
建物の経年による価値の減少については、不動産所得の経費になります。
減価償却費という科目名です。
アメリカの物件は、建物の取得価格が大きいため、減価償却費も日本の物件よりも大きくなります。
例えば、木造新築住宅の耐用年数は、22年です。
アメリカでは、
- 22年経過した木造住宅の耐用年数は4年と計算されること
- 築22年の木造住宅の価値も高く評価されること
そのため、減価償却費で毎年、建物の取得価格の1/4ずつ経費を作ることが出来ます。
日本とアメリカの建物に対する評価の違いがあります。
他の所得と損益通算できた
マンションの家賃収入は、所得税法では、不動産所得という所得区分になります。
不動産所得は
家賃収入 - 経費 = 不動産所得
例えば、
- 家賃収入が、月20万円で年240万円
- 減価償却費が、3,000万円÷4年=年750万円
とすると
- 240万円-750万円=△510万円(赤字)
経費(減価償却費)が大きいと不動産所得が赤字になります。
この510万円の赤字は、他の所得。
例えば、
- 給料を貰っていれば、給与所得
- フリーランス・個人事業主であれば、事業所得
などの所得(黒字)があるとします。
不動産の赤字と他の所得との黒字を合算することを損益通算といいます。
損益通算されると所得が下がるため、所得税額が下がります。
これが、海外不動産を使った節税スキームとして、今まで行われてきました。
海外不動産を使った節税に税制改正?
どのような制限が入るのか?
税制改正大綱に記載のあった内容は、
- 海外中古不動産の不動産所得で生じた赤字を、日本国内の損益通算に使えないようにする
というものでした。
税制改正はいつからか?
2021年分の所得税の計算からルールが変わります。
ただし、
- 改正日以後に取得した不動産が対象
- 改正日前から保有していた不動産が対象
どの取得時点から制限がかかるのかは、今のところ、分かっていません。
分かり次第追記したいと思っています。
まとめ
- 海外不動産は建物の価値が高いこと
- 中古建物の減価償却で赤字を作れること
で海外不動産を使った節税スキームがありました。
2021年からは、海外不動産の赤字を損益通算出来なくなります。
ただし、2021年以後の
- 以後取得
- 前から保有
のどこから規制がかかるのかは、まだ分かっていません。
- 2020年までの海外不動産だと対象だと駆け込みが需要起こる
- 節税が出来なくなるので、新規の海外不動産投資が減る
という状況も考えられます。
このような節税スキームは、盛り上がっては、規制の連続です。
会計検査院が規制の対象にするような節税には、今後も気を付けましょう。
最後に
編集後記
税制改正大綱に記載があったこと。富裕層の方に、海外不動産の節税スキームの仕組みについて、気にされている方がいたので記事にしました。
昨日は、法人の月次訪問と年末調整という1日でした。
1日1新
かつえだ 特上ロースかつ
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