税務調査のときに依頼される資料・傾向と対策<No.58>

税務調査

税務調査で依頼される資料・流れをまとめました。その際、どんな指摘事項を探しているのか傾向と対策について記事にしました。

税務調査

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調査当日までに準備して欲しいと依頼される資料・流れ

必ず用意して欲しいといわれる資料

税務調査が入ったとき、税務当局から必ず依頼される資料は以下の通りです。

  1. 会計帳簿(総勘定元帳・過去3年分)
  2. 証憑書類(見積書、請求書、領収書)

場合によっては用意して欲しいといわれる資料

また、場合によっては以下の資料も追加で依頼されます。

  1. 売上・仕入・外注先・在庫一覧表
  2. 固定資産台帳
  3. 給与台帳、扶養控除申告書
  4. 消費税精算表
  5. 会社案内
  6. 業務フロー図
  7. 組織図
  8. グループ全体の資本関係図
  9. 役員名簿・社員名簿・出向者名簿

税務調査の流れ

税務調査の流れとしては、朝10時に税務調査官が来て名刺交換

その日の午前中は、税務調査官と代表がフリートークをされます。
フリートークでは、代表の生い立ち・趣味など人柄など間接的なことから話が始まることがほとんどです。

その後、事業内容、業界の動向、特異性、関連会社の事など多岐に直接的な質問をされます。
その際に大枠を見たいということで、場合によっては用意して欲しい資料をお願いされます。
昼の12時から1時間休憩をお互いにランチタイムをとり、午後1時から税務調査再開となります。
その際、フリートークでの事項、会社案内・業務フロー図・組織図を確認して、会計帳簿と証憑書類の確認始まります。

日にちは、事業の規模によって違いますが、小規模であれば1~3日ぐらいが多いです。

調査当日に要請されることが多い資料

調査当日に要請される資料は、以下のとおりです。

  1. 稟議書
  2. 取締役会などの議事録
  3. 契約書・覚書

稟議書では、重役に決裁を依頼しているため、重要な事項が多く、指摘事項が見つかります。例えば、大きな設備など購入していないかとか。
取締役会・株主総会などの議事録では、定期同額の給与になっているか(役員報酬)や配当、退職金などを確認されます。
契約書・覚書では、売上や仕入の期ずれなどがないか。契約の完了日はいつまでかなどを確認されます。

否認されると修正額が大きい指摘事項

売上・仕入・在庫

売上・仕入・在庫の計上時期にズレがないかは必ず確認されます。特に修正額が大きくなるためです。
売上は、商品を販売した場合は、引渡し基準

サービス提供の場合は、サービス完了基準請負工事だと、工事完成基準・工事進行基準など計上時期を明確にしなければなりません。
引渡し基準とは、以下の3つの計上時期となります。

  1. 出荷基準
  2. 納品基準
  3. 検収基準

仕入の立場でも売上と同様、計上タイミングが決まっており、期末に売れ残った商品を棚卸資産として計上しているか。

税務調査で確認されます。
業績の良い・悪いにかかわらず、普段から規則的に経理することが重要です。

指摘があると所得税や法人税に加えて、消費税にまで修正が及びます。

固定資産台帳

固定資産で気をつけるべきは、修繕費なのか、資産として減価償却すべきなのか。

この点が一番見られます。物品の取替であれば、資産の購入になります。
修理であれば、資産価値が増えた部分については、資産計上
メンテナンス部分は、経費として修繕費計上となります。

修繕費ではなく、資産計上であればその分の経費が否認されて、所得税や法人税の修正が必要となります。

給与台帳

一番多い指摘事項は、期末賞与です。期末賞与の未払計上には、次の要件があります。

  1. 支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること
  2. 通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること
  3. 支給額につき通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること

今期業績が良いので期末賞与を未払計上する場合に、上記要件を満たしていないと翌期の賞与と認識されますので期ズレによる修正で法人税が増えます。
翌期の経費になりますが、罰金税がかかるため注意が必要です。
また、親族関係の給与など実体に合わない金額など、指摘事項にあがる事が多いので注意が必要です。

まとめ

税務調査では、普段から整理された経理をしていれば大きな問題が指摘されることは少ないです。

必ず用意する資料は、クラウド会計で経理していれば規則正しく経理されます。

証憑も領収書などの現物はクリアファイルに綴じ込み、写真が保存されているので便利です。
調査当日に請求される資料も株主総会や取締役会のたびに資料作成し、クラウドサービスのDropboxやGoogleドライブに保存しておけば端末を見せれば原本まで見たいといわれることは少ないです。
否認されると修正額が大きい3つの項は、ここを指摘されると本税と罰金税の両方がかかるため、普段からの経理がいかに大事かというのが税務調査のときに分かります。
特に税務調査を受けたことがない新規事業者の場合税務調査を受けることも考えて普段の経理をする必要があります。
無申告の方は、税務署からのお尋ねがきて、税務調査を受ける前に期限後申告をした方が罰金税の割合が少なくて済みますので、税理士にご依頼いただければと思います。

■編集後記
チュートリアルの徳井さんの税金無申告の話題で、顧問先から雑談をされることが最近多いように思います。

まずは、開業申請、申告、納税が基本ですので、きちんと行ったうえで、微妙な判断については、税務当局と折衝していきたいと思っています。
事業を成長させ、成長コストとして納税する。納税した後は、税務調査も正々堂々と受けられる状況にしていきたいと考えます。
無申告でまずいと思っている方は、ぜひ早めにご相談されることをオススメします。昨日は、法人の月次入力・研修会という一日でした。

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消費税増税に伴う経理の注意点についての記事→こちら